初心者でも大丈夫!情報処理技術者 論文試験の書き方講座

毎年、春と秋(4月と10月)に実施される情報処理推進機構(IPA)情報処理技術者試験
中でも高度試験と呼ばれる試験区分の中の論述試験突破のためのポイントをご紹介します。

論述試験とは

論述試験とは出されたお題に対して論文形式で回答する問題です。

初めて高度試験を受ける方はこう思うかもしれません。

  • 論文って豊富な経験があってこそ書けるものでしょ?
  • たった2時間で2000文字以上の論述なんて無理
  • そもそも論文を書いたことがない

大丈夫です。高度試験の論文問題はこのポイントさえ押さえておけば合格がグッと近づきます。
私も同じ思いで初めて受験した時は失敗しました。
しかし、これから紹介するポイントを押さえるだけで、その後1度も失敗することはありませんでした。

論述式問題が出題される試験

2019年時点の論述式問題が出題されるのは以下の5試験区分の午後Ⅱ試験です。

<2021年1月更新>
2020年度秋季試験より秋季と春季の実施試験が入れ替えになったので春・秋を更新しました。

  • ITストラテジスト試験(春)
  • システムアーキテクト試験(春)
  • プロジェクトマネージャ試験(秋)
  • ITサービスマネージャ試験(春)
  • システム監査技術者試験(秋)

高度試験はその他に、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンべデットシステムスペシャリストという試験区分がありますが、これらのスペシャリスト系試験と呼ばれる区分の午後Ⅱは記述問題です。

論述式問題に合格するための大前提

論述式問題は午後Ⅱ試験であると紹介しました。
つまり、午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰの試験を突破することが大前提です。
(午前Ⅰは一定の条件を満たすと免除される制度があります)

突破しなくても午後Ⅱ試験を受けることはできますが、採点されません。
つまり、頑張って書いた論文が合格水準にあるのかそうでないのかすらわかりません。

なので午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰまでは頑張って合格してください。

超大雑把にコツをお伝えすると、

  • 午前Ⅰ、午前Ⅱは問題集で過去問をひたすら解いて問題と解答を暗記する
  • 午後Ⅰは問題集を繰り返し解いてパターンを体に身につける

ということになりますが、実は本当にこれだけだったりします。
私は、以下の書籍で午前Ⅰ、午前Ⅱを突破しています。

午後Ⅰの勉強法については試験区分毎に異なるのでこちらをご参照ください。

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情報処理試験対策まとめ

論述試験突破のための3つのポイント

それでは、午後Ⅰまで突破できていると願って、午後Ⅱの論述式試験を解答するための重要なポイントをご紹介します。

ポイントは・・・

  1. テンプレートを覚える
  2. 問題文の通り答案を書く
  3. とにかく具体的な数値を入れる

これだけです。やれそうな気がしてきたでしょう?
この3点だけ意識していれば、豊富な経験も、文字数もあまり意識せず、初心者でも論文を作成することができます。
具体的に見ていきましょう。

午後Ⅱの問題は2〜3問のお題(テーマ)が与えられ、その内1問(テーマ)を選択します。
なんとなくエピソードが思いつくテーマを選んでください。何を選んでもこのポイントは適用できます。
過去問はIPAのホームページからダウンロードすることができます。

ポイント1:テンプレートを覚える

論述式問題の中には3つの設問があります。
テーマにより若干の違いはあるものの、概ね以下のような内容です。

設問ア:自分の携わる情報システムの概要と発生した問題の経緯
設問イ:問題に対する自身の理解と実施した対策
設問ウ:実施した対策の評価と課題

これをテンプレートに当てはめて記述します。テンプレートとは、以下のように設問毎に大分類と中分類の見出しをつけることです。

第1章 私が携わる情報システムの概要と発生した問題の経緯
1.1 私が携わる情報システムの概要
・・・文章・・・
1.2 発生した問題の経緯
・・・文章・・・

ね、簡単でしょ。なにせ設問そのままなのですから。

なぜこのようなテンプレートで良いかと言うと、試験の採点者の気持ちになって考えてみるとわかります。
採点者は、会ったこともない何人もの、しかも自分が経験したことのない情報システムの論述を読んで理解しなければなりません。
その際、この論文の中に設問で問うた内容はどこに書いているのかを探す暇などありません。

つまり設問の内容はここに書いてありますよと最も分かりやすく示すためには、この方法が簡単で、かつ最も採点者にとって理解しやすいのです。
もうお分かりですね。

第1章 私が携わる情報システムの概要と発生した問題の経緯
第2章 問題に対する理解と実施した対策
2.1 問題に対する理解
・・・文章・・・
2.2 問題に対して実施した対策
・・・文章・・・
第3章 実施した対応の評価と今後の改善点
3.1 対応策の実施状況と評価
・・・文章・・・
3.2 今後の改善点
・・・文章・・・

という具合です。これでそこそこ字数も稼げますし、理解してもらいやすい論文が書けます。
文章の中でさらに小分類を追加するとより読みやすくなります。

対応策は以下の3点である。
(a)小分類
・・・文章・・・
(b)小分類
・・・文章・・・
(c)小分類
・・・文章・・・

といった感じです。

また、1.1の私が携わる情報システムの概要については、どういった文面にするかまで決めておきましょう。
例「私は全国○○人の顧客が24時間365日利用する○○オンラインシステム開発にプロジェクトマネージャとして携わっている」
などです。

続く特徴についても利用する人が特徴なのか、止められないシステムが特徴なのか等、自分のテンプレートとして準備しておき、テーマにより使い分けると良いでしょう。

ポイント2:問題文の通り答案を書く

次にどんな文章を書くかについてです。
その答えは問題文にあります。

問題文(テーマと設問の間に記載されています。詳細は過去問を参照)には、論文に書いて欲しい問題や解決策が既にいくつか例として記載されていますのでそのまま書くのです。

第1章の書き方

第1章は、例えば「システムの本稼働間近に実施されるシステム受入れテストで、機能面、性能面、業務運用面での問題が発見されることがある」と言うような内容が本文に書いています。

結論から言います。
システム受入れテストで機能面、性能面、業務運用面での問題が発見されたことにしましょう。
たとえ実際このような経験をしていなくても、こういった場面で自分ならどうするということを実際に起こった風に書けば良いのです。

第2章の書き方

第2章に記載する対策も問題文に書いています。例えばこんな内容です。

  • 暫定的な稼働で対応する事になる
  • 利用部門や運用部門と調整する
  • システム利用時の制限,システム利用時のルールの一時的な変更をする

書きましょう、書きましょう。
第1章で紹介したシステムの特徴に合わせて上記のようなワードはそのまま書きましょう。
これも、採点者が理解するために必要なテクニックです。
採点者は何をしたかよりもどういう考えで実行したかを採点しています(と私は思っています)。
なのでこの例でいうとプロジェクトマネージャとしてどういう立場でどう考えなのかに注目しています。
なぜ暫定的な稼働で対応することとしたのか、どういったことを懸念して利用部門や運用部門と調整したのかが大事です。

第3章の書き方

第3章は、第1章、第2章と比較すると問題文から読み取れるヒントは少ないですが、例えば、同様な状況を発生させないための再発防止の整備が課題である等、前向きな課題や改善点を書けば問題ないです。

ポイント3:とにかく具体的な数値を入れる

最後はいかにリアリティのある論文にするかというポイントです。

ポイント2で見たように、問題文に沿った答案にしようと思うと、経験していないことなど具体的にと言われてもどうすれば?とお悩みになるかもしれません。

そんな時はとにかく数字を使いましょう。

  • 本稼働の何日前なのか、暫定期間は何日なのか
  • 追加したルールは何項目なのか、追加する機能は何機能なのか
  • 影響するお客様は何人なのか
  • 何時間システムが止まるのか
  • 売上は、損失はいくらなのか

等です。

時系列や金額は矛盾がないよう気をつける必要がありますが、とにかく何か数字を入れられないか考えるように心がけましょう。

まとめ

これまで見てきたポイント3つ

  1. テンプレートを覚える
  2. 問題文の通り答案を書く
  3. とにかく具体的な数値を入れる

を使えば、採点者に理解してもらえる論文を書くことが可能です。
騙されたと思って一度書いてみて下さい。
意外に書けるはずです。
そして一度書くと、テーマが変わってもこの3つのポイントを意識すれば、問題文から解答がイメージしやすくなると思います。

最後に1つだけ注意点。情報処理技術者試験は手書きです。
手が疲れますので試験前日に書く練習をして手が震えるようなことのないようゆっくり寝て試験に挑みましょう。

それでは皆さんがこの3つのポイントを意識して、試験で良い論述ができるよう願っています。