異文化理解力【感想・レビュー】グローバル企業社員が身につけるべきスキル

日本の企業が次々にグローバル戦略を打ち出しています。これからはかつてないグローバル時代となります。
そんなグローバル企業の社員は異文化理解力がこれからの企業で活躍する上で必須スキルとなるでしょう。

今回はグローバルスキルを身につけることができる本

について紹介します。

この本を読めば、あなたのイメージしている日本人像、外国人像が一変し、世界各国の人とのコミュニケーションに自信が持てるようになります。

異文化理解力の概要

著者はどんな人?

著者は異文化マネジメントに焦点を当てた組織行動学を専門とし、異文化交渉、多文化リーダーシップについてビジネススクールで教えている人物です。
また、多くのグローバル企業のエグゼクティブに対する異文化についてのコンサルティングを行うなど、異文化に関するプロです。
しかし、著者は両親がバリバリグローバルで活躍しているような環境ではなく、アメリカの小さな町で生まれ、海外に出たのは大人になってからだそうです。

そんな著者が、世界の見方が自分とは違う人々に囲まれて興奮を覚えて作っちゃったのが、「異文化見取り図」と「カルチャーマップ」です。

この本の特徴

異文化見取り図

異文化見取り図とは、各国の文化を八つ指標に分け、各国の文化が指標のどの位置に属するのかを一目でわかるようにしたものです。
よく、「日本人の特徴は・・・、アメリカ人の特徴は・・・」と行った会話を耳にします。
各文化には属性毎に特徴が異なり、先の会話はとある属性に関して話しているに過ぎず、その国の文化について適切に捉えた会話ではないということが著書を通じて理解できます。

カルチャーマップ

カルチャーマップとは、例えば、スペイン人とアメリカ人がコミュニケーションを取るとき、両国の特徴が各八つの指標の内どこに位置していて、場面に応じてどのように行動すべきかが理解できる図です。
アメリカ人はスペイン人より意見をシンプルにズバズバ言います。
一方でフィードバック、すなわち評価に関しては、スペイン人の方がズバズバ言う文化なので、アメリカ人にスペイン人に評価されると、直接的すぎて凹んじゃう的なことです。

こんな人に読んでもらいたい

グローバルと接する可能性のある人に読んでもらいたい

まず1番読んでほしいのは、以下のような方で、これからグローバルと接する可能性のある人です。

  • 当初からグローバル企業に勤めている人
  • フリーランスとして海外で働こうとしている人
  • the日本企業に入社したのに突然会社がグローバル化を掲げてしまった人

私は海外には行かないと決めていたとしても、あたなのオフィスに外国籍の社員が赴任するかもしません。
そんな日は突然訪れます。明日かもしれません。

ビジネスとしての異文化コミュニケーションは、海外旅行での英会話とは事情が異なります。
海外旅行では、異文化をそこまで理解できていなかったとしても、ちょっと損しちゃったとか、道案内してもらったのに逆に道に迷っちゃったとかのレベルです。
しかし、ビジネスでは異文化を理解していないことで、何千万円、何億円という取引がパーになったり、社運を賭けたプロジェクトがうまくいかなかったりします。

この本を読んで、世界各国の人と接する準備をしましょう。

グローバルで活躍中の人にも読んでもらいたい

既ににグローバルで活躍している人は肌で感じて、そのスキルを身につけているかもしれません。そんな方にもこの本はおすすめです。
この本では各国の文化の特徴データを集め、客観的に示しています。
これまで異文化と接することに悩みや疑問を持った経験について、あなたが肌で感じた情報とデータが一致しているのか改めて確認することでまた新たな気づきを得たり、ビジネスチャンスの可能性が広がるかもしれません。

異文化理解力を読んで感じた3つのポイント

私が本書を読んで面白いと思った以下の3つのポイントを紹介します。

  1. 日本人ってわかりやすい
  2. 外国人のイメージが変わる
  3. 日本人がグローバルでなすべき役割はこれだ

ポイント1:日本人ってわかりやすい

日本人ってどういう文化なのかな?と本書を読み進めていると、日本人は八つの指標のほとんどにおいて端っこに位置しています。
私が特に面白いと感じたのが、リードという指標と決断という指標です。
みなさん、日本人はリード(平等主義vs階層主義)と、決断(合意志向vsトップダウン式)でのどこ位置していると思いますか?

リードの指標では日本人は超階層主義だそうです。
会社でも部長、課長、係長と行った階層が明確ですね。
アメリカでは階層構造は深くはないようです。(もちろん全ての会社がそうというわけではありません)
アメリカドラマでも、部長、課長という括りではなく、BOSSというイメージですよね。

超階層主義であれば決断もトップダウン式かというと違います。
日本は超合意志向です。
何かを決めるときはみんなで決めたことにします。

この文化は日本の意思決定が遅いと言われる所以です。
一方で、きっちり決めるという点では失敗の少ないやり方とも言えるので、この点だけでは良いとも悪いとも言えません。
私は「日本人=意思決定できない」と思い込んでいましたが、この本を読んで「合意志向で階層主義という文化なんだな」という理解に変わりました。

意思決定できない人に意思決定しろというのは難しいかもしれません。
しかし、ただ難しいからできないと考えるのではなく、各階層とスピーディーに合意するためには何をすればいいかと考えた方が解決に近づくことができると私は思います。

ポイント2:外国人のイメージが変わる

外国人のイメージも変わりました。
ポイント1で記載したように、日本人は八つの指標の端にいますから、大括りでいうと外国人の印象は決定するかもしれません。
しかし、グローバル企業とは、日本人とA国の人、日本人とB国の人といった関係だけでなく、日本人とA国の人とB国の人といったように、複数の国の方々と関わることになります。
特にあなたが、多国籍プロジェクトのマネージャーやリーダーなら、日本人以外の国の文化を理解して、カルチャーマップに合わせた対応を取らないとプロジェクトがうまくいかないと言うことです。

私はこの本に出会っておいて本当に良かったと思いました。
これを知らなかったら、A国の人とB国の人でトラブルがあっても「あの二人は仲が悪い。困ったなー」程度だったかもしれません。
本当に仲が悪い場合もあるかもしれませんが、原因は文化間の価値観の違いが生んだすれ違いである可能性が高いのです。
逆に言うと、文化間の違いをお互いが理解することで、トラブルが解決・回避できる可能性だってあります。

ポイント3:日本人がグローバルでなすべき役割はこれだ

日本企業はグローバル化が遅れていると言われますが、私はこの本を読んで「今は遅れているかもしれないが、これからグローバルで活躍する上で日本は有利だ」と感じました。

なぜか?

なぜなら、日本人は八つの指標の端にいる。つまり自分のポジションについていちいち確認する必要がないからです。
A国の人と接するときもB国の人と接するときも程度の違いはあれ、基本的には同じ気遣いをすればいい。
さらにA国の人とB国の人が対立していた場合でも中立な立場で仲裁ができます。

日本人がグローバル企業社員が活躍する道が見えてきました。

まとめ

以上が、私が「異文化理解力」を読んで感じた感想とレビューです。

  1. 日本人ってわかりやすい
  2. 外国人のイメージが変わる
  3. 日本人がグローバルでなすべき役割はこれだ

グローバル企業の社員は異文化理解力がこれからの企業で活躍する上で必須スキルとなるでしょう。